2018年05月11日

もはや<仕事>のていをなしていないということ(朝日新聞朝刊(2018/05/10))

 昨日(2018/05/10)の朝日新聞朝刊のオピニオン面の『記者有論』<文化政策の閣議決定 数のトリック見過ごせぬ>に、成長戦略の一環である「文化芸術推進基本計画(第1期)」の経済規模の目標値に関する話が載っていて。

 要は政策の実施によって、<日本の文化芸術産業の経済規模を、これくらいまで(=目標値)アップさせますよ>というもので、大雑把に言うと、<2025年までに、2015年の値の倍以上>という目標値が掲げられている。

 で、これを読んで、<おお、政府はそこまで力を入れているのか!>と思うのは早計で。

 実は<倍以上>に見える数値には、本来なら<仕事をやり直せ!>と突き返さなければいけないような小細工が組み込まれている。

 日本の文化芸術産業にはさまざまな分野があるわけだが、実は「文化芸術推進基本計画(第1期)」の中で、2015年の数値では項目に入れていなかったものが、2025年までの目標値では項目に入れてあるのだ。

 具体的には<IT関連や観光など>で、<現状>を示す2015年の数値には、<IT関連や観光など>は入っていない(→その分、数値自体が低くなっている)。

 一方、政策の実施で実現が見込まれると謳って(うたって)いる<2025年までの目標値>では、<現状>の数値では計算していなかった<IT関連や観光など>を足した値が記されている。

 片方では計算に入れる項目を少なくして、もう片方では計算に入れる項目を増やしておいて、その状態でそれぞれを合計して、後者のほうが数値がグッと大きくなるはずですよ、とやっているわけだ。

 このやり方について質問された文化庁側の説明は、

(前略)「10年後の目標を、15年と同じ算出方法で大きく増額するには限度がある」


 つまり、<入れる項目を増やさないと目標値が大きくならないから、入れる項目を増やした>というわけで。

 このようにして出された<目標値>を見ても、<その政策によって見込まれる効果のほどを測り知る>ためには何の役にも立たないだろうと思い、このような数値を出したり、数値を大きくするためのからくりを考えたりすることを仕事と心得ているというのは如何なもの(いかがなもの)だろうかと思ったのでした。

 (ちなみに、上記とは特に関係は無いが、同日付の朝日新聞朝刊の経済面の『けいざい+』<三菱重工、誤算の原発輸出 トルコ、安すぎた電力料金水準>も、なんだかなあ、と感じさせられる内容で。
 見出しの文言とはちがい、経産省やら政府の成長戦略やらの問題のほうが大きいのかな、というのが個人的な印象)。
posted by らぶらどーる at 03:27| 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする